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世莉さんといっしょ

演劇ユニット「世莉さんといっしょ」のブログです。

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ロゴスとフィシスのあいだ

ある番組を観て、
「ロゴス」と「フィシス」という言葉を知りまして、
それで色々と気づいたことを今日は書き記そうと思います。
「スイス」から「フィシス」へ・・・

この企画が始まったばかりの頃。
これから始める上で、目標を立てました。

・シンプルに関わること。
・捕らわれた価値観を崩すこと。

みんなで建てたその目標ですが
ボク自身が、何よりもそのテーマとの戦いでした。

書いている最中、ボク自身、自分の拙い表現に落胆して
・書いていて自分が何がしたいのか。
・どういう風に書けば、より伝えたいことが伝わるのか。
そういうところに捕らわれて、本質が浮かんだり沈んだりし続けました。
なんなら、ほとんど沈んでいました。
見せ方にこだわる、物語の構造の部分にこだわりすぎて
本質が全く見えなくなってしまったこともあります。

それでも、なんとかカタチにして、
なんとなく良い話っぽく(でも実は何にも美しくなくて)終わらせようとしてしまう・・・。
それはあやうく、拙いはなしにするところでした。

しかし、世莉さんが提示してくれたこの物語のラストは、
そんなボクへの固執を突き崩してくれました。

実はボクは、
演劇は「生モノ」という意味がよくわかっていませんでした。
今でも本当にわかってるのかどうか、自信がありません。

正直、映画の方が好きだし、
完成度の優れた名シーンを何度も観る方がボクにとっては幸せだと思っていました。

それでも演劇をしているのは、何だろう。
ボクは演劇に何を求めているのだろうか。
シンプルってなんだろうかと。
捕らわれた価値観って何だろうと。

世莉さんがやっていた時間堂を初めて観たとき、素直に面白く感じたのは、
そこにいま居る人間の感情を信じられたこと。
それでいて、ロジカルな会話の組み立てが心地よいこと。
そこに快感を得たからです。

ハッキリとは解らないにせよ、
ボクが求めている演劇のヒントはここにある。
そう感じて、世莉さんのマイズナーテクニックのWSに参加しました。

そして色々なご縁もあって
こうして公演をさせていただいた今、なんとなくわかったこと。

ノイズを受け入れる。

それは「どうにも整理のつかないもの」は整理をつけずにそのまま吐き出してみる。
ということ。

音で言えば・・・
音は本来はノイズであって、そこに星と星を点で結ぶように音楽になっていきました。
でもだんだん正確になっていき再現性が高くなると、何故か人はそこに魅力を感じなくなっていきます。

人間も自然の産物である以上は、矛盾や無駄や非合理なもの、一回性が論理・・・ロゴスを突き破ってきます。
それすらも抑えて、まだロゴスの中に居ようとすると人にとって、悲しいことになる。

ロゴスによって切り取られたこの世界のなかでは、
人間自身も生きていることを忘れがちになってしまう。

人間もノイズから生まれたようなもので、
ロゴスとは反対の自然・・・フィシスなところを呼び起こすことは、
とても大事なことなんじゃないかと。

ボクが、全部ではないですけど、演劇に求めるところはそこにあるのだと気づかされました。
映画で、何度も同じシーンを観るのも、そのマジカルな瞬間を何度も観たいからかもしれません。

他人と関わることで、自分に湧き起こる感情をありのままはき出すエクササイズをするマイズナーテクニック。
これもまた、ロゴスでは計りきれないフィシス側に身を置く、人間の本質を捉えたテクニックだと思います。

世莉さんの提示してくれたこの物語のラストは
演劇をもうちょっとシンプルに捉えて、ノイズも受け入れてみること。
自分で捕らわれていた価値観を崩していこうとすること。
そんなフィシスを見事に引き出してくれたラストだったんじゃないかと思います。

そしてボクがやりたい演劇も、ロゴスによって高められたエンターテイメントを維持しつつも、
どうにも説明しきれない感情、フィシスな面を再確認すること、そして受け入れること。
なんじゃないかと気づかされました。


なんか理屈っぽくなりましたね・・・。
理屈じゃない部分にこそ、ボクが演劇に求めるものがあるというのに。。。
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なぜ、スイスだったか。



今作の舞台であるカフェで、
手作りのパンを出して自慢する叔母、みたいなエピソードを入れようとしたときに
パン造りを調べました。

この時、なんとなくパンはカンパーニュが良いと思い、
カンパーニュについて調べだしたんだと思います。

調べていくうちに、面白いパン屋を見つけました。

人口200人ほどの、愛媛県にある大島という離島。
ここでスイスから移住してきたジャックさんという方が
工房も作り方も素朴そのものなパン屋さんをやっているというのです。

ボクの大好きな某セカンドライフ紹介番組でも
取り上げられていたそのパン屋で造っていたのが、カンパーニュでした。

ジャックさん曰わく、
スイスで当たり前のようにお母さんが作っていたのを思い出しながら
パンを作っていったそうです。

ボクはそれを見て、スイスじゃ米を炊くようにパンを作ってるのか。
それなら、カフェでパン造りをするというのは気軽でカンタンにやれるんじゃないか
と思ったのです。

しかし調べていくうちに、スイスの一般家庭では、
さすがに毎日お米を炊くようにはパンを焼いていなかったのですが、
そこから色々と派生して調べていくうちに、
使われている言語の多さ(フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語)や
スイスの幅広い留学事情を知ることが出来ました。

スイスはとにかく色んな国から留学生を受け入れていて、
他言語習得が出来る環境や異文化交流によって、
広い視野を育むのに良いと言われています。

でも物価も高かったり、
スイス人は表層的にはそこまで暖かみのあるタイプの人たちじゃないだとか
良い面ばかりでは無いのですが。
まあそんなこんなで、パンを調べているうちにスイスに触れ(?)
結局パンの設定は無くなったんですが、スイスというものは取り入れたのです。

異文化交流が盛んなスイスで留学の経験をしてきたからこそ、
「彼女」が少し変わった距離感で人と接するようになったのかもしれません。

いや、まあもちろんボク自身はスイス経験なんて無いし、
そこはコメディだから
ちょっとデタラメな人物設計なんですが。

でも、スイスは調べると面白いですよ。(どんな国でも調べれば面白いか)

皆さんも、お暇なときにスイスについて調べてみてください。

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皆さんの感想、読ませていただいてます。

この前、ボクが参加してるのを知らずに観に来ていた方に
「え、鎌谷さんって参加してたんですか?」
とか言われて、それはさすがに哀しかったのでこの写真・・・
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ほら、いるでしょ。右端にさ。

そんなことはどうでもいいんですけど、遅ればせながら、
Twitter、facebookに書いていただいた感想を読んでいます。
本当にありがとうございます。

嬉しいお言葉の数々です。
そしてこの作品を観て、ボクが抱いてほしかったことが
ちゃんと伝わったんだな。と安心もしました。

毎月1度、
ワークショップといっしょに公開稽古をしていたのですが、
それに参加され、公演日に観に来られた方は
完成されたものを観てその変化っぷりに驚かれてました。
確かに、そりゃそうでしょうね・・・笑。といいたくなるくらい変わりました。

「空気感がすき。」
と言ってくれた人が多かったのも、嬉しかったです。
今作では、どうしようもない家族の話を笑い飛ばしてもらいたかったのです。

タイトルを褒めていただいた方もいらっしゃって、
この内容からあのタイトルが生まれるなんて!
と書かれていたんですが、これはタイトル先行なんです。
ボクは基本、タイトル先行でして、そのせいで自分の首を絞めることも多々あります。

アンケートも読ませていただきました。
熱心に書かれているお言葉が多くてビックリしました。

そして何より、
友人や演劇関係の方々に
ボクが書いたものを観てもらえる機会がなかなか無かったので、
その方達に観てもらえたことが本当にうれしかったです。


結局、登場人物たちは何が変わったのか・・・。

観ただけじゃ何もわからないんですが、
抑えきれない感情が吐き出せただけでも、
この家族にとっては大きな一歩なんだとおもいます。

30分で何か解決できるものでもない――。
何がどう変わっていくか、誰もわかりません。

そんなもんだと思い、こういったラストになりました。

実は書いたボクですら、登場人物にわかりやすい変化を出して
なんか良い話にまとめようとしていたのですが
世莉さんが、何も解決しないラストへと導いてくれたのです。

おかげでとても良いラストになりました。
世莉さんのおかけです、ホンマに。



甘エビ→カンパーニュ→甘エビ

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物語にちょくちょくインパクトを与えてくれた

「甘エビ」

食べ物を入れるというのはボクが本を書くときのクセというかサインみたいなもので、
以前は「警察署のピロシキ定食」とかいうわけわからんモノを出してました。

今作では何稿か書いている間に食べ物に変遷がありました。
最初は甘エビだったんですが、一時期カンパーニュになってました。
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これです。

カンパーニュの語源になった「カンパニオ」という言葉は、
もともとは「パンを分け合う人々」という意味で、
その語源をたどると「仲間」を意味します。

家族で最後にパンを分け合うのか、合わないのか。
そんな発想で書いていたのですが、
結局甘エビに戻しました。
話をキレイに持っていこうとしたことに違和感を覚えたからです。

結果的には正解でしたし、
世莉さんはそれをより引き立たせてくれました。

あとから考えると、
弟が彼女を通して甘エビを母親にプレゼントするというのは、
何か自分でも抑えきれない「訴え」があったのかもしれませんね。

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保冷バッグはむーさんのアイデアで、ボクは最初、デパート・・・
伊勢丹あたりの紙袋に入れて出そうとしてましたが、
これも保冷バッグで正解でしたね。
最近では百均でも売ってますし、わざわざバッグに入れ替えるというのが、
実に彼女らしいですね。

とにかく、甘エビで良かったです。笑
ではまた。

実際にありますよ。この本。

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「あまりの絆のなさに」
本編を観ていただいた方はわかると思いますが、
"呼吸のシーン"というのがありまして。

唐突に”彼女”が話題に出す『呼吸入門』という本は実在するんですね。
当たり前のようにしている呼吸を改めて見つめ、いかに大事かを教えてくれる本です。

黒澤世莉ワークショップでも、
世莉さんが何度も「呼吸しましょうーー!」と言います。
「呼吸は万能ですから」とも。

心身をクリアーにする一番簡単なことが「呼吸」なのです。

最近よく聞くマインドフルネスも、自分の呼吸に耳を傾けるということをするし、
ボクが学んでいるアレクサンダーテクニークも、やはり呼吸から入ります。

物語ではヒートアップした中をまぁ~強引に呼吸させてますが、
皆さんも自分が何か息詰まったときは、呼吸をしてみてください。

特に「吐く」方に意識して。笑

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